親族内の仲裁からスタートした老舗飲食店の経営再建


担当コーディネーター: 足立 文博(金融)

県内の銀行にて支店長を歴任、退職後「中小企業支援ネットワーク事業」等国の事業に従事。経営戦略・後継者問題・創業・資金繰り等相談をお待ちしています。

相談のきっかけ

 当社は昭和の創業以来、約一世紀に渡って飲食一筋に取り組む老舗。飲食店と関連工場も手掛けており、ピーク時には年商1億円に達していました。

 その後、大手企業の社内食堂設立や近隣への相次ぐ競合店開店による競争が激化し、売上高はピーク時の4割程度にまで落ち込んでいきました。これを挽回するための新商品作りを相談したいと、県内某市の出張相談会に来訪されました。

 しかし、内情を確認したところ、料理長が病気がちで、かつては稼ぎの柱であった夜の宴会を中止せざるを得なくなったことや、店長と社長(ともに親族)の折り合いが悪いこと等がわかり、新商品の開発どころではないのでは、と指摘。経営改善計画も進行中であったことから、並行して経営改善についても支援していくこととなりました。

支援内容と成果

 当初は、相談者の意向に沿ってデザイン・販促のコーディネーターが支援していましたが、社長は経営改善計画の終了年で店舗を売却して店を閉めたい、店長は店舗が売れるまで営業に力をいれ新商品の開発を相談したい、と意見が分かれ仲が険悪に。

 まずは仲直りをさせるべきと原因追究を試みたところ、料理長らの所得保証についての問題があり、これを解決しなければ改善もできないと判断しました。料理長らの所得を安定させるため、労働局サイドの補助金や支援策を提案、活用を促しました。これにより関係が改善し、店舗売却の話が進められるようになり、最終的に売却も完了しました。債務の一部を返済し、再度経営改善支援センターのもと経営改善計画に着手。現在は、工場のみで経営改善を継続しています。店長らにも余裕が生まれ、親族同士の関係修復もできたことで経営再建に向けて大きく進むことができました。返済額の増額によって債務を圧縮し、キャッシュフローもおおむね良好に推移しています。

相談者の声

親身になって相談に乗って頂き、また、専門的なアドバイス指導により改善できたことをうれしく思っています。よろず支援拠点に相談して本当によかったと思っています。